MAEHIROBLOG.

大学病院勤務の理学療法士。慢性疼痛や心臓リハビリに関する情報をまとめています。

ODIとRMDQ

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今回は一般的に使用されている腰痛評価法のうち、疾患特異的つまり腰痛に特化した評価法について以下の2つを説明していきたいと思います。広く日本でも使用されている評価であり、患者立脚型(患者の主観的な評価)の評価法となっています。

ODI(Oswestry Disability Index

世界的に使用されている評価法で1976年にversion1.0が発表され、改良されたversion2.0が2000年に報告されています。普段使用する場合はversion2.0を使用します。ちなみに私は6ポイントでした。

整形外科スコアリング: 日本語版 Oswestry Disability Index(ODI) 2.0
質問は10個で答えは影響の度合いによって、0点から5点までの6段階から回答し、10問の回答を合計します。数値が小さいほど良好です。

SF-36とも十分な相関関係を示しており、特に身体面のサブスケール PF(physical functioning)と強い相関があると報告されています。

MCID関しては、Meadeら1)は4ポイント、米国のThe US Food and Drug Administration(FDA)は脊椎固定術の有効性は15 ポイント以上としています。

最近では心理的な側面も考慮した評価表が多く開発されており、その点で言うとODIは多少劣っているかもしれません。しかし広く使用されてきた評価であるため、過去の膨大な先行研究と比較すると言った点ではメリットは大きいものがあります。

 

 

RMDQ(Roland-Morris Disability Questionnaire) 

こちらもは名称の通りローランドとモーリスらによって作成されました。この評価が1983年とODIより少し後になります。

 

RMDQは腰痛によって日常生活が障害される程度を評価する尺度としています。日常よく行う生活行動が腰痛のために障害されているかどうかを尋ねる24 項目から構成されています。各項目にはいいいえで回答する形式ではいと回答された項目の数が得点となります。ちなみに私は4点でした。RMDQもODIと同様に海外のデータを含め多くの先行研究と比較できるメリットがあります。詳しいマニュアルはこちらからどうぞ。

 

多くの症例ではODIとRMDQのどちらを用いても十分対応可能と考えられますが、床・天井効果の点で考えると、より慢性期の重症度の強い母集団ではODIが、軽症例に RMDQの使用が推奨されています。

 

 

腰痛の症状は多彩であり、腰痛評価のゴールドスタンダードは存在しないと言われたりもしています。その人の症状や社会背景を考慮した評価が必要ということですね。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

<参考文献>

1)Meade T, Browne W, Mellows S et al. Comparison of chiropractic and outpatient man- agement of low back pain: a feasibility study. J Epidemiol Commun Health 1986; 40: 12‒17.