急性腰痛と慢性腰痛
腰痛の時相
腰痛の時相は大きく分けて急性腰痛と慢性腰痛に分けられます。腰痛診療ガイドライン(2012)では発症からの期間が4週間未満を急性腰痛、4週間以上で3ヶ月未満を亜急性腰痛、3ヶ月以上を慢性腰痛と定義しています。
しかし、実際の臨床では発症期間で分けられない症例が多く存在するのも事実です。
要因が異なる
急性腰痛は要因が特定でき、実際に組織の損傷が生じているもの(腰椎椎間板ヘルニア、脊椎圧迫骨折など)であり、慢性腰痛とは心理社会的要因などが複雑に絡み合い、組織の損傷から予測できる痛みを超えて生じているものと考えることができます。
つまり腰痛は急性期から慢性期にかけて疼痛の原因が変化していきます。以下の図がわかりやすいです。
時相と要因を考え評価する
腰痛を慢性化させないことの重要性は言うまでもありませんが、その腰痛は現在どの時相にあるかをしっかりと把握しておくこと非常に重要です。
また要因が特定できるものなのか否かを、評価していくことが理学療法を提供していく上で必要になります。要因は急性から慢性に至る経過で変化していきます。
正しい治療、管理が施されなかった例では、一見慢性腰痛に見えるが、実は急性腰痛だったということもあるかもしれません。
これらの視点が加わることで、より対象者のニーズに応えることが可能となるのではないでしょうか。